彼は冴えない新人営業マン、今日も数字が取れずに上司の机の前で叱られている

そう!『見せしめの公開処刑』の時間だ。
彼はシワシワのスーツに猫背、両手は伸ばして下で組み防御の体制に入っている。
表情は、この世の終わりが来たかの様な暗い表情。
上司「今日の新規訪問(飛び込み営業)は何件だ!は?10件?少なすぎる・・・・・だからお前は」
事務所内に響き渡る怒号、どう聞いても指導には聞こえない。
1日の営業活動の否定・突っ込み、アドバイスらしきものは聞こえてこない。
怒られながら考える。上司の目的はおそらくこうだ。
『ちゃんと部下のマネジメントをしていますアピール』
『俺に逆らうとこうなるぞ!と周囲の部下に思わせ恐怖心を植え付ける』
こちらが提案して商材を販売する場合、相手の信用・信頼が無いと提案すら難しい。
種まきをしている段階の新人に、数字を出せなんて難しい話だ。
飛び込み営業は何件したか、どれだけ情報を集めたとか、詰めは続く。
これが毎日1時間近く続くのだ。
同じフロアに本社があるので、フロアの人間は廊下のガラス越しに見える。
同僚・重役等々が通過する。
彼の名前は「もとや」中途採用の新人営業マンだ。未経験で営業の世界に飛び込んだ。
ブラック企業でおなじみ『未経験者でも、大丈夫』、求人票のこの文句につられて・・・
もとや(はぁ。。やっとお説教が終わった。今日も疲れたなぁ)自分の席に戻ると
中村「もとやくん、今日も大変だったね。所長は今日機嫌悪かったからね」

もとや「そうなんですか、中村さん今日は数字上がったんですね。さすがです」
中村は、もとやの教育担当だ。
要領が良くいい加減な性格だが、物腰が柔らかいのでお客さん受けが良い。
しかも、同僚の女性社員とも仲が良い。
同行営業をする時は、助手席のダッシュボードに足を乗せて、ふんぞり返って乗る2面性がある男。
生理的に好きにはなれなかった。
中村「明日は同行営業だから、準備しといてね」
現在時間は夜8時。普通に12時間は働く毎日だった。
12時間の拘束時間が短く感じる様になるなんて、この時のもとやは知る由もなかった。
次回に続く



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